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6日目 9月8日(金曜日)のつづき
13時前にウィーン中央駅に着いた。今晩の宿となる夜行列車が出発する19時半頃までの約6時間ほどをウィーンで過ごす。ほとんど下調べもしていないので適当に地下鉄で街を漂ってみる。

昔描かれた近未来予想図のような空間が広がる。

ホーム上の消火栓がシースルーになっていて格好良い

日比谷線みたいな電車が走っている



Margaretengürtel駅で地下鉄からトラムに乗り換える。駅前広場から直接低床トラムに乗り込む光景はなかなか良い。

Oper電停に来た。ウィーン国立歌劇場の目の前で文字通りオペラの雰囲気が漂っている。ここでオペラほどではないが少々の観光要素という事で名物を食しに行くとする。


フィルハルモニカ通りを挟んで国立歌劇場の向かいにあるHotel Sacher ホテル・ザッハーにやって来た。ウィーン名物のチョコレートケーキ、ザッハトルテの発祥の店である。30分ほど並んで入店した。ウェイターの勧めに従ってザッハトルテとコーヒーのセットを注文した。

Original Sacher-Torte 9.9EUR
一口食べれば口の中は濃厚なチョコに満たされる。そして後味にはほんのりとフルーツの香りが残る。中間層にはアンズのジャムが仕込まれており、いいアクセントとなっている。しかしそのジャムもまた濃厚な甘さで逃げ場がない。ケーキにたっぷりと添えられているのは生クリーム。恐る恐るそれを口にするとこれが思いのほかすっきりとした甘さ。生クリームも砂糖を入れなければ箸休めになるらしい。

ザッハトルテを食べ終えるころ、これまたホイップクリームの浮かぶコーヒーが供された。日本だとウインナーコーヒーと呼ばれているものだ。
幼少期の私は「ウインナーコーヒー」という言葉を聞くと、ソーセージの乗ったコーヒーを思い浮かべていた。ウィーンのソーセージを意味するウインナーソーセージが略されてウインナーとして売られているのは理不尽だと思う。そういえばフランクフルトもまた同様の略され方をしている。
胃もたれしそうなほどに甘いものを堪能し、これにてウィーン観光を終了とする。



観光終了といっても乗車する列車の時刻まではまだまだ余裕がある。Oper電停から路面電車に乗って時間を潰す。赤色のウィーン市電に混じって走る青色の電車はBadner Bahn(バーデン線)といい、ウィーン近郊のバーデンなる街に向かって延びている。
ウィーン市電とバーデン線の境目のSchedifkaplatz電停付近でカメラを構える。5連接車体を2編成連ねて交差点を曲がる様はまるで大蛇。

cityjetの名を冠した車両 落書きが目立つ
そろそろ中央駅に戻ってもいい頃合いだ。近くのWien Meidling駅からÖBBのS-Bahnに乗車し、2駅目の中央駅で下車した。


Railjetを降りた時とは異なる地下ホームに着いた。新旧様々な電車客車が行き交っている。立派な電気機関車が2階建て客車を牽いて(あるいは推して)都市交通を担っている光景はなかなか新鮮である。

午後6時を過ぎて太陽もようやく傾いてきた。夜行列車に乗車する前に夕飯を済ませておきたいところだが、どうにも食欲が湧いてこない。思い浮かぶのは昼に食したチョコレートの塊で、そいつが強烈な胃もたれをもたらしているように思う。
とりあえず駅併設のスーパーマーケットに向かってみる。棚に並ぶ食品を見れば食欲が湧くかもしれない。

食欲は湧かなかった
結局のところエナジードリンクで無理やり栄養を摂ることになった。この先宿にありつけない日が続くので、連れが教えてくれたデオドラントを購入。欧州向けでよく効くとの噂だ。
コンコースに戻ると乗車するハンブルク行きナイトジェットの編成がサイネージに表示されていた。前の便はイタリア方面のナイトジェット。国際列車の行き交うターミナル駅というのは居るだけでもワクワクしてくる。そろそろホームに向かおうか。

NJ490 ハンブルク行きとアムステルダム行きの二階建て

ほどなくして紺の車体に赤帯を巻いた客車が機関車に押されて入ってきた。ホームには旅の始まる空気が漂っている。夜行列車への期待を抱きながら客車のステップを昇った。
つづき
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