旅程未定

瀬戸内海を飲み干したい

202309欧州旅行記|14 ナイトジェットの旅

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6日目 9月8日(金曜日)のつづきのつづき

 

 

列車が到着し扉が開くと、旅人たちが続々と吸い込まれてゆく。自分も流れに続いて乗車する。手持ちのチケットと窓に貼られた号車番号とを照らし合わせて確認する。ここで適当な車両に乗ると、翌朝の挨拶が「Guten Morgen」ではなく「Goedemorgen」になってしまう。

 

 

 

 

寝台車の廊下はバックパッカーを捌くにはいささか狭いように感じる。遅々として進まない群れに少々苛立ちながらもなんとか指定の寝台のある個室までやって来た。その個室の中には6人組の先客がいる。念のため自分のチケットを再確認しながら「待って待って、部屋合ってるか?」と声を掛けた。彼らは特に慌てるでもなく部屋から出て行った。当時は6人も居るなら1人くらいは部屋を確認しろと思ったが、今考えてみると「同じ個室を取れなかった6人組がダメ元で空室を占拠した」という可能性もある。そうだとしたら身勝手が過ぎる。

 

 

 

野生生物と目が合う



気を取り直して空になった部屋へと足を踏み入れる。3段寝台を向かい合わせに2つ配置した6人個室だ。私の寝台は76番。上中下とあるうちの上段寝台を抑えたわけである。この選択には先人の知恵が大いに活かされている。

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チピチピチャパチャパ

ハノイの喧騒にも少し慣れてきたベトナム滞在2日目の昼頃、私は緑のヘルメットを被り町中に鳴り響く騒音の一つとなっていた。今の自分の命は前に居る緑ヘルメットに握られている。

傍目には無秩序に見える二輪の群れも、彼らなりの意思疎通を行っているようだ。こうした観察から分かったことだが、無秩序にクラクションを鳴らしたいだけの輩が結構な数いる。

 

 

川沿いの飲食店の前でバイクを降り、あとからやってくるバイクを待つ。この店を勧めてきた張本人ももうすぐ緑ヘルメットを被ってやって来るはずだ。

 

 

 

 

店の看板にはthịt chó & tiểu hổと掲げられている。どちらも日本ではお目にかかれない食材だが今回のお目当ては後者の方だ。

ベトナムでも日常の食事というよりは珍味のような分類になるようで、どこの店にでもあるようなメニューではない。tiểu hổは漢字にすると「小虎」。thịt chóと比べると遠まわししな表現である。

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202309欧州旅行記|13 ウィーン散策

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6日目 9月8日(金曜日)のつづき

 

 

 

 

13時前にウィーン中央駅に着いた。今晩の宿となる夜行列車が出発する19時半頃までの約6時間ほどをウィーンで過ごす。ほとんど下調べもしていないので適当に地下鉄で街を漂ってみる。

 

 

昔描かれた近未来予想図のような空間が広がる。

 

ホーム上の消火栓がシースルーになっていて格好良い

日比谷線みたいな電車が走っている

 

Margaretengürtel駅で地下鉄からトラムに乗り換える。駅前広場から直接低床トラムに乗り込む光景はなかなか良い。

 

 

Oper電停に来た。ウィーン国立歌劇場の目の前で文字通りオペラの雰囲気が漂っている。ここでオペラほどではないが少々の観光要素という事で名物を食しに行くとする。

 

 

フィルハルモニカ通りを挟んで国立歌劇場の向かいにあるHotel Sacher ホテル・ザッハーにやって来た。ウィーン名物のチョコレートケーキ、ザッハトルテの発祥の店である。30分ほど並んで入店した。ウェイターの勧めに従ってザッハトルテとコーヒーのセットを注文した。

 

 

Original Sacher-Torte  9.9EUR

一口食べれば口の中は濃厚なチョコに満たされる。そして後味にはほんのりとフルーツの香りが残る。中間層にはアンズのジャムが仕込まれており、いいアクセントとなっている。しかしそのジャムもまた濃厚な甘さで逃げ場がない。ケーキにたっぷりと添えられているのは生クリーム。恐る恐るそれを口にするとこれが思いのほかすっきりとした甘さ。生クリームも砂糖を入れなければ箸休めになるらしい。

 

 

 

ザッハトルテを食べ終えるころ、これまたホイップクリームの浮かぶコーヒーが供された。日本だとウインナーコーヒーと呼ばれているものだ。
幼少期の私は「ウインナーコーヒー」という言葉を聞くと、ソーセージの乗ったコーヒーを思い浮かべていた。ウィーンのソーセージを意味するウインナーソーセージが略されてウインナーとして売られているのは理不尽だと思う。そういえばフランクフルトもまた同様の略され方をしている。

 

 

胃もたれしそうなほどに甘いものを堪能し、これにてウィーン観光を終了とする。

 

 

 

観光終了といっても乗車する列車の時刻まではまだまだ余裕がある。Oper電停から路面電車に乗って時間を潰す。赤色のウィーン市電に混じって走る青色の電車はBadner Bahn(バーデン線)といい、ウィーン近郊のバーデンなる街に向かって延びている。

ウィーン市電とバーデン線の境目のSchedifkaplatz電停付近でカメラを構える。5連接車体を2編成連ねて交差点を曲がる様はまるで大蛇。

 

 

 

 

 

 

 

 

cityjetの名を冠した車両 落書きが目立つ

 

そろそろ中央駅に戻ってもいい頃合いだ。近くのWien Meidling駅からÖBBのS-Bahnに乗車し、2駅目の中央駅で下車した。

Railjetを降りた時とは異なる地下ホームに着いた。新旧様々な電車客車が行き交っている。立派な電気機関車が2階建て客車を牽いて(あるいは推して)都市交通を担っている光景はなかなか新鮮である。

 

 

 

午後6時を過ぎて太陽もようやく傾いてきた。夜行列車に乗車する前に夕飯を済ませておきたいところだが、どうにも食欲が湧いてこない。思い浮かぶのは昼に食したチョコレートの塊で、そいつが強烈な胃もたれをもたらしているように思う。

 

とりあえず駅併設のスーパーマーケットに向かってみる。棚に並ぶ食品を見れば食欲が湧くかもしれない。

 

 

食欲は湧かなかった

結局のところエナジードリンクで無理やり栄養を摂ることになった。この先宿にありつけない日が続くので、連れが教えてくれたデオドラントを購入。欧州向けでよく効くとの噂だ。

 

 

 

コンコースに戻ると乗車するハンブルク行きナイトジェットの編成がサイネージに表示されていた。前の便はイタリア方面のナイトジェット。国際列車の行き交うターミナル駅というのは居るだけでもワクワクしてくる。そろそろホームに向かおうか。

NJ490 ハンブルク行きとアムステルダム行きの二階建て



 

ほどなくして紺の車体に赤帯を巻いた客車が機関車に押されて入ってきた。ホームには旅の始まる空気が漂っている。夜行列車への期待を抱きながら客車のステップを昇った。

 

 

 

 

つづき

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202309欧州旅行記|12 レールジェットの旅

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6日目 9月8日(金曜日)

 

 

喉が渇いて目が覚めた。部屋の乾燥は喉にとっては大敵だが、デメリットばかりではない。昨晩洗濯したTシャツは完璧に乾ききっていた。旅行中背負って歩いているカメラバッグのうち、衣類に割り当てられた区画はごく僅か。宿泊中に洗濯できないと着る服が無くなってしまう。

今日は8時台の列車でプラハを発つ。チェックアウトを済ませて地下鉄でプラハ本駅に向かう。

まぶしい

 

 

プラハ本駅 なんだか味気ない

少し早めに着いて乗車する列車のプラットホームが確定するのを待つ。外をうろついて暇を潰してみる。味気ない駅舎だと思ってた構造物の上には道路が走っていて、その通りに面して立派な駅舎があるらしい。それを帰国後に知って上に登らなかったことを悔やんだ。

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202309欧州旅行記|11 生肉と生ビール

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5日目 9月7日(木曜日)のつづきのつづきのつづき

 

 

宿を出て地下鉄を乗り継ぎムーステク駅に降り立つ。そこから観光客の流れに乗って、細くくねった路地をしばらく進んでゆくと旧市街広場に出た。

雑踏の中に、蹄が石畳を蹴る音が混じる。直球のヨーロッパの旧市街を正面から食らい、しばし動けなくなってしまった。

旧市街の馬車ツアー 真っ白な馬車馬が凛々しい


広場を離れてお目当てのレストランに向かう。宿と移動以外のほとんどを旅程未定にしているが、ここだけは事前に調べていた。カードでの支払いを断られたとの口コミがあり(使えたとの口コミもあった)、念のためATMに立ち寄り現金を1,000CKZ用意しておく。

 

Pilsner Urquell 59CZK(約400円)

ムーステク駅に程近いレストラン  U Pinkasů に到着。ピルスナーウルケルを最初に提供した店とのことで、最初のオーダーはもちろんこれ。通りに面したテラス席でビールを飲む歓びに浸り、にやにやが止まらなくなってしまう。一杯目を飲み干したころに料理が運ばれてきた。

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202309欧州旅行記|10 散策 カレル橋

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5日目 9月7日(木曜日)のつづきのつづき

 

 

ズリーチンからトラムを乗り継ぐこと約30分、Praha Masarykovo nádraží(プラハ・マサリク駅)に着いた。

直線距離にして500m足らずの至近距離に位置する国際ターミナル、プラハ本駅と比べると少々こじんまりとした印象だ。プラハ・マサリク駅は現プラハ本駅よりも26年早い1845年にプラハ駅として開業しているので歴史的にはこちらが本駅である。本駅の座を譲ったマサリク駅は国内ローカルが発着するターミナルとして旧市街の東に鎮座している。

天窓から差し込む柔らかい光に包まれた駅構内は市民の憩いの場になっていて、どこか穏やかに時間が流れているような気がする。何とも居心地が良いのでここで昼食をとることにした。

プラハ名物バーガーキングで腹ごしらえを済ませた。絶好のお散歩日和なので旧市街をぶらついてみる。

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202309欧州旅行記|9 レールバスの旅

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5日目 9月7日(木曜日)のつづき

 

 

 

プラハ城から逃げるようにトラムに乗り込み、昨日ぶりのプラハ本駅にやってきた。親子の像が見つめる先には、小さなレールバスがぽつんと佇む切欠ホームがある。日本の国鉄駅の0番線みたいなもので、ここでは1a番乗り場と呼ばれている。

全長14m弱の短尺のボディながら、一丁前にデッキで仕切られた客室には3+2列のボックスシートが10組ばかり鎮座している。このゆったりとした幅が、何とも間抜けで可愛らしいお顔の要因である。座席はベンチシートのようなものを想像していたが、改修によって前日乗ったECの客車と似たような座席になっていた。

このチェコスロバキア生まれのレールバス、名を810形ディーゼル動車といい、一部界隈からはその形式名からレールバス先輩と呼ばれ親しまれているとかいないとか。

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