旅程未定

瀬戸内海を飲み干したい

202309欧州旅行記|6 壁と門の街

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4日目 9月6日(水曜日)

重い頭を上げて時刻を確認した。朝食が始まっている時間だった。ポケットの中からくしゃくしゃになった昨晩のビアホールのレシートが出てきた。値段は見なかったことにしてそっとポケットに戻した。

無料朝食

朝食付きの宿はありがたい。街に出てこれを食べようとしたら幾ら掛かるんだろう…と考えてしまう。ほんのり甘いパンケーキでサラミをサンドしたら思いのほか美味しかった。

 

箱にルームキーを放り込んでチェックアウトした。宿を出て駅前へ向かうと、7連接の黄色い車体をくねらせて電停に滑り込んできた。

U NaturkundemuseumにてU6に乗り換え

中央分離帯の階段を降りるとそのまま地下鉄のホームに出る。よくTLに現れるブダペスト程ではないが、このホームの近さには少し驚いてしまう。

銀座線も改札が無ければこんな感じなんだろう。

銀座線みたいな黄色い電車が来た。Kochstraßeまで乗車する。

 

行き交う人々や車を見張るように兵士の写真が掲げられた、少々異質な空気の漂う交差点にやってきた。

ここはチェックポイント・チャーリー

教科書に載るような出来事が起きた場所に来たんだな、という思いがこみ上げるものの、ここで何が起きたのかはイマイチわかっていない。

そんな人間でも、現地の壁がここで何が起きたのかを教えてくれるから安心。英語も歴史も分からない私は理解しきらないままこの場を去った。

 

チェックポイントチャーリーから西に向かって歩くと、壁が保存された区画があった。

ここは”テロのトポグラフィー”という、ナチスの暴力支配に関する展示を行う博物館の敷地らしい。保存された壁の下にはここで発掘されたという地下牢の跡も展示されている。

この時は何やら作業中だったようで入れなかった。

 

 

そこから針路を北に向け、ブランデンブルク門を目指す。程なくPotsdamer Platz(ポツダム広場)に出た。ここの地下にはSバーンUバーン、DBの路線が交差しているPotsdamer Platz Bhfがある。

DBのロゴを掲げたビルはドイツ鉄道の本社

広場には筒のようなオブジェが斜めに突き刺さっている。見回してみると何本かあるようだ。階段を下りて地下へと潜る。そこには巨大な空間がくり抜かれていて2面4線の駅が見下ろせる。

やはりドイツはいちいち幾何学の格好良さを押し付けてくる。たまらない。

そこをICEといった長距離列車が駆けてゆく。圧倒的な力強さを前に、オタクは平伏す他ない。

ホームに降りると、天井から何やら筒が突き刺さっているのが見える。この筒、もしや?と思い天を仰ぐ。

震えた。

 

 

先ほど地上で見た筒を通して、自然光が射しこんでいた。

 


コンクリートと金属とガラスの無機質な空間に、太陽光が流れ込むことで人の使う空間が完成する。

 

 

 

寄り道でしみじみとしすぎた。ブランデンブルク門へと向かう。

『虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑』

そんなこんなでブランデンブルク門に到着した。この旅始まって以来の世界的観光地で、さすがに観光客の数が多い。それにしてもいい天気だ。


 

写真を撮って一息ついていると、アジア系の女性のグループに声を掛けられた。写真撮ってくれとでも頼まれるのかなと思ったが、みな手にバインダーのような持っているのでどうやら違うらしい。

そんな風に考えてる間に彼女たちは随分と距離を詰めてきていた。少し冷や汗をかいた。

訛りのきつい英語で何やら捲し立てられている。署名を求められているようだが、何に使われるか分からないので断った。

次の瞬間、彼女たちの態度は豹変した。

両脇の2名が私の腕を掴み、行く手を阻む。しまった、油断してた。

この間にも大声で何か言われていたが、こちらも大声でNo! Don't touch me!と叫んですべてを拒んだ。

 

 

なんとか振り切って安全な場所まで逃げてきた。

どさくさに紛れて何か盗まれてないか確認したが被害は無かったようだ。

 

 

 

やっぱり人がやたらと集まるような観光地には近づきたくないな、と改めて思った。

 

 

U5|Brandenburger Tor

少々テンションを落としながら最寄駅からU5に乗って中央駅へと向かう。U5は中央駅を通る唯一の地下鉄だ。

中央駅に戻れば先ほど下げたテンションも元通り以上になるという自信があった。

U5|Hauptbahnhof

第三軌条方式の地下鉄は空間が広々としてよい。

線路はDBの地下ホームと平行に配置されている。壁を隔てた向こうには国際列車行き交う大ターミナルが広がっている。

 

 

これから訪ねる地へ思いを馳せながらコンコースへ向かった。

 

 

 

つづき

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