いつも通る公園の角のベンチ
そして大体いつもそのベンチにいる野良猫
冬の日も、夏の日も、わたしが退勤する時間帯は西日が射すベンチに佇んでる
”公園の主”の風格を漂わせるそのノラは、
非常にのっさりとした動作で、”よそ者”であるわたしに視線を向けてくる
「先輩への挨拶は欠かすな」
「先輩への挨拶は欠かすな」
「先輩への挨拶は欠かすな」
社会人になるときに、茨城のばっちゃから貰った言葉がフラッシュバックした
我が物顔でどっしり構えたあの姿は間違いなくわたしより格上
あいにくネコ語は心得ておらず、会釈程度しかすることは出来ないが、挨拶をして通り過ぎる
そんな主でも敵わない相手がいることを、最近知ってしまった
いつもの角のベンチに主の姿はなく、代わりにご婦人方の井戸端会議場になっていた
主はどこへ…と周りを見ると、ベンチから少し離れた場所に居た
占拠されたお気に入りの場所を眺める野良猫の丸い背中は、やけに切なかった