普段「この車両について語らせてくれ!」と思うようなことはないのだがX10pは例外。今書き進めている旅行記を圧迫してしまいそうになったので、今回は別記事として分離させることにした。
ということで文字数に縛られることなくX10pを紹介してみようと思う。
この記事の補足的な内容になっています
もくじ
そもそもX10pってどこにいるの?
X10pが走るロスラグスバナン(Roslagsbanan)は、スウェーデンの首都、ストックホルムの中心部と郊外を結ぶ鉄道路線。
Stockholm östra(ストックホルム東駅)を起点に、27・28・29系統の3路線が途中駅で分岐しながらKårsta、Österskär、Näsbyparkへと続いている。沿線風景は住宅街、郊外のショッピングモールから牧草地帯、ゴルフ場の中など、彩り豊かである。
特筆すべき点は、何といってもその軌間である。かつてスウェーデンで使われていた測量単位に由来する、スウェーデン3フィートゲージと呼ばれる891mmの軌間は、現役の路線としてはロスラグスバナンが唯一である。
顔がいい
御託を並べてもしょうがない。何といっても顔がいい。
ライトブルーの上すぼみ車体に白帯。丸いヘッドライトと3枚窓の顔は愛嬌が溢れている。窓下部のホーンは車両によって向きが不揃いで個性を感じられる。運転席直上の機器もベレー帽をちょこんと乗せたようでかわいらしい。
足元に目を向けると赤いスカートがいいアクセントになっている。そして891mmと華奢な足回りにもお気付きになるだろう。
X10pってどんな車両なの?
もうちょっとスペックの方にも触れてみよう。
X10pは1988年から1995年にかけて、老朽化した電車や客車列車を置き換える目的で全101両が製造された。ロスラグスバナンの近代化に貢献している。
車両は以下の3形式がある。
- X10p形 両端に運転台を備えた電動制御車
- UBp形 中間付随車 リニューアルにより中央部が低床になっている
- UBxp形 片側に運転台を備えた制御車
日本風に言うならクモハ+サハ+クハの3両を基本単位としている。何となく四国6000系を思い出す構成。
現在は3両または6両で運用されている。過去にはX10p単独の1両から、あれこれ繋げた9両まで多彩な編成を見ることが出来たようである。
各車とも車両両端に両開きプラグドアを持ち、中間車のUBp形のみ低床部にドアが追加されている。
内装も見ておこうね
・X10p形 UBxp形
両端のドア部は仕切り戸こそないもののデッキになっていて、雪国らしさが垣間見える。
座席はすべてボックスシート。青いモケットに黄色い手すりが映える。
X10p形とUBxp形はほぼ同じで、UBxp形のみ運転台の無い端部にジャンプシートを備える。このスペースはベビーカースペースとなっていて、当該箇所は乗車ドアのピクトグラムで示されている。
・UBp形
元々は何の変哲もない中間車だったUBp形は、2010年代のリニューアルによってバリアフリー化されている。低床部はドア開時ににょきっとステップが生えてきて隙間を出来るだけ小さくしている。ステップ動作のために、このドアだけ開扉が少し遅れる。
低床部以外はほぼ他形式と同じで、UBxp形同様のベビーカースペースが両端にある。
いかがでしたか?
ガタイのいい車両の多いスウェーデンで、どこか日本のローカル私鉄のような雰囲気を纏ったX10pにあなたも魅了されること間違いなし。
次の休みはストックホルム行きで決まりだね!